備忘録

元翻訳者。英語、本、映画、その他なんでも、日々、感じたことやメモなど書きます。

あいさつの言葉について

英訳しにくいものに日本語のあいさつがあります。

昔から一番、気になっていたのは「いただきます」。

Webで検索すると、"let's eat"とか代わりの表現として出ていますが、"let's eat"と言う状況としては、まず全員が席に着きおあずけ状態で待っていて、さぁ、食べましょう!」とならなければなりませんが、実際に自分がアメリカにいた時に気づいたのは、全員が同時に食べ始めるということはあまりないということです。大体、気が付いたらすでにそれぞれに食べ始めている。食事の始まりはとてもさりげなくて、慣れないうちは気が抜けた感じを受けたのを覚えています。

ただ、クリスチャンの家庭とかパーティーなどでは、食べる前にしっかりしたお祈りがあって私の感覚ではこの長いお祈りを凝縮したのが「いただきます」という印象です。私の通っていてた保育園はキリスト教だったのですが、食べる前になが~いお祈りがありました。たしかお百姓さんとかいろいろな人に感謝をし、この食事をもたらしてくれた神様に最後に感謝して「アーメン」で、やっと食事を開始します。母親が授業参観に来たときそのお祈りの長さにびっくりした、というのは今でもよく言っています。

たぶん「いただきます」の中にはこの長いお祈りが凝縮しているに違いない、と私は思います。

敬虔なキリスト教の家庭では毎回の食事の時にこの長いお祈りをしてから食事が始まります。静かなひとときです。私は特に宗教家ではないですが、お祈りの時間は好きです。これと比べると「いただきます」はとってもシンプルな感じです。

もうひとつ訳しにくいとよく話題に出るのが、「おつかれさま」です。

仕事の終了後や何かを頑張ったあとに便利に使える「おつかれさま」ですが、こんな便利な表現は英語にはないと思います。英語の場合は、その都度、状況に応じて言葉は変わってくるし、ただ単に"Bye!", "Hi!"だけの時もあります。なんて乱暴な、という気もしますが、どんな状況でも「おつかれさま」のひとつで済んでしまう日本語というのも大雑把な感じで、「あいまいでも雰囲気で汲み取ってね」という日本語ならではな気がします。