備忘録

元翻訳者。英語、本、映画、その他なんでも、日々、感じたことやメモなど書きます。

初仕事

昨日、仕事始めで、今日、今年一件目の納品でした。

仕事始めも納品も日にちは自分で決めているだけですが。

今年一発目のお仕事は、ソフトウェアのライセンス契約の和訳でした。ここまで純粋な契約書は久しぶりだった気がします。慣れているだけに、ストレスもなくスムーズに訳し終え、なかなか良いスタートでした。

とは言っても、IT系の文書は実はあまり得意ではありません。普段あまり触れていないので、内容はなんとなく分かっていても表現があっているのかどうか常に不安があり、度々、ネットで日本語から検索して、一般的に使われているのかどうかを確認しながらという感じです。

以前、IT系を専門にしている翻訳者さんに、IT系の英語の用語辞典などはないんですか?と聞いてみましたが、やはりIT系では思いあたらないとのことで、その方もネットなどで調べているそうです。変化が激しいので辞書とかにするのは難しいのでは、とのことでした。定訳というのが定まりにくいのだとしたら、言葉の意味をまず調べて自分で分かりやすい表現を作っていくしかないのでしょうか。その点、契約用語などは、きっちりしています。

IT系に限らずですが、欧米でできた新しめの言葉の場合、英語の単語1つを訳すために日本語の長文(説明文?)になってしまうということは結構あることで、処理が難しいところです。

少し違う話になりますが、一見、シンプルなカタカナ語をどう訳すか、みたいなことにすごく悩んでしまうこともあります。例えば、ライセンス契約の場合、「License」をどう訳すかとか。「ライセンス」でも良いのかもしれませんが、契約書の場合、なるべく漢字を使った固めの表現にした方が良さそうなのでカタカナはできれば避けたいし。

今のところ、自分が訳す時には、ソフトウェアなどだと「使用許諾」とし、特許の場合「実施許諾」としたりしています。さらに面倒なのは「sublicense」。最近は「再許諾」で落ち着いている感じですが、より良い表現があるのかもしれません。模索中…

自分で訳している時は、不自然かなぁ、固いかなぁと気になりつつ、でも最終チェックで読み直してみたら、意外と契約書としてきっちりした感じで悪くないかも、と思うこともあるし。

契約書や訴訟などの翻訳は敬遠されることが多いようですが、自分にとってはとても面白い分野です。分野関係なく、大抵のものは(難しすぎなければ)面白くなってしまうというのも事実ではありますが。

今年もいろんな分野の翻訳がたくさん来ますように。