備忘録

元翻訳者。英語、本、映画、その他なんでも、日々、感じたことやメモなど書きます。

翻訳のレート

最近は世の中の景気が良いからか、翻訳の仕事もすごく増えている気がします。

そこで最近、気になるのは翻訳会社によって翻訳料が大きく違っていることです。

基本的には翻訳会社さんの言ってきた値段でやっていて自分でコントロールするのは難しいですが、あまりその金額の落差が大きいとなんだか不公平だなぁ、と思ってしまいます。

安定的にお仕事をいただいていて、落ち着いて翻訳ができるというその他諸々の判断基準などもあるので、一概に言えないところもありますが、翻訳者としても、それなりに戦略を練ってしっかりやっていかないといけないなと感じます。

2年目に突入

1年前の昨日、フリーランスとして立ち上げ、今日から2年めに突入します。

なんだか日々、バタバタと慌ただしく過ごしてますが、まだ1年か…という感もあります。

始めた時はフリーで食べていかれるのかどうかすらも半信半疑でしたが、意外にも(?)仕事は来ています。

翻訳という仕事柄、一見、静かではありますが、トライアル、様々な翻訳会社とのやりとり、年末調整等々の処理あり、翻訳内容も様々なものが来て冷や汗をかきつつ翻訳したり、と私の体と脳みそはフル回転しっぱなしです。

ここまで来ての実感としては、とにかく翻訳力をつけることが一番大切ではありますが、その上でしっかりとアンテナを広く張ったり、新たな分野に挑戦したり、PCなどツールの技も学んだり、交渉力をつけたり、さらには体力をつけたり、など心がけることは山のようにあるなぁという感想です。

まだまだ思うようにいかず、もどかしいことも多々ありますが、少しずつでも進歩していけたらと切に願う、2年目初日なのでした。

「役務」か「サービス」か?

請負契約などで出てくる"Service"は、「役務」か「サービス」かは毎回、少し悩みます。

 

ネット検索で「役務」「契約」と入れると、国や地方自治体がらみのページが多く出てきました。

一方、「サービス」は、IT契約、コンサルティング契約などの話題が多く出てくるようです。

大辞泉によると「役務」は「公的な仕事、また他の人のために行う労働」とのことです。

 

結果、今、作業しているのはコンサルティング関連の契約なので、「サービス」で行こうかなという感じでしょうか?「他の人のために行う労働」である「役務」の存在がちょっと気にはなりますが…基本、契約書などに出てくるServiceはほとんど全部が、他の人のために行う労働だと思うので。

Serviceは結構、頻繁に出てくる単語なので、ちょっとしたことかもしれませんが、非常に気になるところです。

ijet

6/21~22に行われていた翻訳者のConferenceへ行ってきました。

http://ijet.jat.org/ja/site/index25 

こういう集まりに参加するのは初めてだったのでとても新鮮でした。

スピーカーは有名な翻訳者や英語関係の本をたくさん出されている先生ばかりで、セッションの内容も翻訳の勉強に関するものだけではなく、翻訳者のための資産形成、ストレスマネジメント、仕事場環境について、翻訳業界の現状と翻訳者の取るべき道、などなど盛りだくさんでした。

在宅で翻訳をしていると情報を得る機会が限られるので、様々な情報を得られた貴重な二日間となりました。

またlaw関係の翻訳についてのセッションでは、普段から疑問に思っていた契約書の英語の言葉の選び方や、法律関係の勉強まで実の濃い内容でした。

多くの人の前に出る機会も最近は全くなくて、会話という意味での英語にも全く触れていないので、そういう意味での自分の力が思った以上に落ちていることにも気が付き、若干の危機感を抱いたのも、気付けたと言う意味では良かったかもしれません。

 

翻訳は実力の世界。とにかく自分の力を磨き続けなければ、というのが全セッションを通しての感想です。

力を磨くためには、英語を読む力、書く力、法律関係の知識、PC関係の知識、そして何よりも日本語力、と磨かなければならない課題は山盛りのようです。

また、あるセッションで、翻訳という仕事をする目的をちゃんと考えることの大切さをお話されていて、とても共感できる部分がありました。どんな姿勢で翻訳の仕事を続けていくかは自分がこの仕事を続けていく上で、日々どんな選択をしていくかの基礎となるものになるだろうし、その各翻訳者の姿勢が翻訳業界全体にも良くも悪くも知らず知らずに影響を与えているものかもしれない、と。

山盛りの課題を目の前にして気持ちばかり焦ってしまいそうですが、ストレスマネジメントのセッションでは、問題を書き出して整理整頓する、と学んだのでこれからするべきことを書き出して頭の中の整理整頓をしたいと思います。

有意義な二日間でした。

翻訳も熱い世界です。

簿記

先日、簿記三級の試験を受けました。

いろいろな人から三級はそんなに難しくないから、大丈夫だよ!というアドバイスをいただき、結構、軽い気持ちで勉強を始めました。

確かにやっている内容自体はそんなに難しくないのかもしれません。

貸方借方を同じ金額にする、仕分けの仕方を覚える、科目の費用、収益、資産、負債、純資産のカテゴリー分けを覚える、試算表で試算する、精算表で精算、決算の時の処理、etc.一個一個をゆっくり考えていくと、なんてことない、というかパズルみたいで面白いとさえ感じられうるものかもしれない。。

なのですが、試験となり、すべての処理の仕方を覚え、時間内に正しい答えを表に埋めていくとなると話は別でした。もっとも自分にとって苦手だったのは、これをちゃんと計算し、表などに間違いなく書き写す、という作業。簡単に言ってしまうと、うっかりミス、ケアレスミスがとっても多く、「うっかり」なのでとても対策しにくい、そして「ケアレス」なのでその要因は主に自分の性質的なところから来ているという状況から、試験当日まで、この試験に対する恐怖心はかなりなものでした。

大手の専門学校の簿記のクラスを受けていたので、そこの結構難易度の高い予想問題を繰り返しやっていたので、本番では比較的に時間的、精神的余裕もあり、この勉強方法はなかなか良かったと自画自賛しつつも、やはりどうしても計算が合わない、それも何十万も合わない~という状況に陥り、試験終了ぎりぎり数分前にその原因が一つ見つかり、それも単なる数字の記入ミスでした。ただ、最終的に数字を合わせる前に時間切れとなったので、他にもうっかりミスがあった可能性は否めません。

試験日から2日経った今でも若干、試験疲れを引きずってはいますが、青色申告の際にも役に立ちそうだし、簿記三級レベルの会計用語なら翻訳文書に出てきてもまぁまぁ訳せる自信が持てるくらいにはなったので、苦しんだ分、実にもなったかなと思います。

ただ、試験結果がどうであれ、もう簿記関連の試験を受けることは一生ないと思います。ああいう作業が自分に向かないと気付いたことも大きな成果の1つでした。

あいさつの言葉について

英訳しにくいものに日本語のあいさつがあります。

昔から一番、気になっていたのは「いただきます」。

Webで検索すると、"let's eat"とか代わりの表現として出ていますが、"let's eat"と言う状況としては、まず全員が席に着きおあずけ状態で待っていて、さぁ、食べましょう!」とならなければなりませんが、実際に自分がアメリカにいた時に気づいたのは、全員が同時に食べ始めるということはあまりないということです。大体、気が付いたらすでにそれぞれに食べ始めている。食事の始まりはとてもさりげなくて、慣れないうちは気が抜けた感じを受けたのを覚えています。

ただ、クリスチャンの家庭とかパーティーなどでは、食べる前にしっかりしたお祈りがあって私の感覚ではこの長いお祈りを凝縮したのが「いただきます」という印象です。私の通っていてた保育園はキリスト教だったのですが、食べる前になが~いお祈りがありました。たしかお百姓さんとかいろいろな人に感謝をし、この食事をもたらしてくれた神様に最後に感謝して「アーメン」で、やっと食事を開始します。母親が授業参観に来たときそのお祈りの長さにびっくりした、というのは今でもよく言っています。

たぶん「いただきます」の中にはこの長いお祈りが凝縮しているに違いない、と私は思います。

敬虔なキリスト教の家庭では毎回の食事の時にこの長いお祈りをしてから食事が始まります。静かなひとときです。私は特に宗教家ではないですが、お祈りの時間は好きです。これと比べると「いただきます」はとってもシンプルな感じです。

もうひとつ訳しにくいとよく話題に出るのが、「おつかれさま」です。

仕事の終了後や何かを頑張ったあとに便利に使える「おつかれさま」ですが、こんな便利な表現は英語にはないと思います。英語の場合は、その都度、状況に応じて言葉は変わってくるし、ただ単に"Bye!", "Hi!"だけの時もあります。なんて乱暴な、という気もしますが、どんな状況でも「おつかれさま」のひとつで済んでしまう日本語というのも大雑把な感じで、「あいまいでも雰囲気で汲み取ってね」という日本語ならではな気がします。

freelance

先日、ネイティブの友人に「最近、フリーで翻訳を始めました」と伝えるために英文を書いていた時に、"freelance"は、「フリーランサー」という名詞だけでなく動詞としても使えるということに(遅ればせながら)気が付きました。

"get started as a freelance translator"、"I freelance as a translator."とか、

"He's freelancing for several translation agencies." (Longman)などは、使い方としてすぐ思い付きますが、

"I freelance a magazine article.": to produce, sell, or accomplish as a freelance (http://dictionary.reference.com/browse/freelance)

という他動詞的な使い方は見慣れない感じがしつつも、結構、使われている表現のようです。

そうは言っても、普通に、"work freelance"「フリーランスとして働く」という表現が一番、落ち着いて使える気もしますが。

"free lance"で辞書に載っていたのは、

「(中世の)傭兵、野武士:いかなる国家、党派、主義にも所属せず自由に報酬をもらって軍務についた;多くは騎士階級」(ランダムハウス英和大辞典)

かっこいいですね。特に「自由に報酬をもらって」というところが魅力的です。

ネットで調べる限りでは、やはりフリーランスという働き方はアメリカなどと比べて日本はマイナーな感じです。農耕民族の日本人にはなかなか受け入れにくい面もあるのでしょうか?しばらくはフリーランスに関しての情報は日本の外にも取りに行った方が豊富な情報が得られそうです。