備忘録

元翻訳者。英語、本、映画、その他なんでも、日々、感じたことやメモなど書きます。

「遺憾」

政治家がよく使う「遺憾」という言葉。

自分がしてしまったことを謝っているのかなと思うけれども、何だかよくわからない何ものかに対してただ「残念」と言っているような、ふんわりとした感触を感じてしまいます。

辞書によると、「思いどおりにならなくて、心残りなこと。残念。【表現】自分側の行為をわびる場合にも、相手を非難する場合にも使う。」(明鏡国語辞典

問題のポイントは、「自分側の行為をわびる場合にも、相手を非難する場合にも使う。」というところかなと思います。

日英辞書を引くと、”regret”とか”sorry”と出てきますが、これが自分側について言っているのか、相手側について言っているのかによって大きく意味合いが変わってきます。

何でもかんでも訴訟になってしまうアメリカでは、”sorry”と軽々しく言ってはいけないと昔、留学に行く時の注意点として聞いた記憶がありますが、日本では結構軽々しく「遺憾」と言います(特に政治家)。もしも、この「遺憾」が自分のやったことを謝っている言葉なら、自分の非を認めていることになるはずですが、それによって何か処分が下されたという話はあまり聞いたことがありません。なんだか、魔法の言葉のようです。

NTTドコモの通信障害について、総務大臣が「遺憾」だとコメントしたそうで、NTTドコモに対する厳重注意のようにメディアで大きく取り上げられていますが、メディアの取り上げ方も明確な定義なく、好きなように操作できてしまうような気がしてなんだかもやもやする感じです。

これも日本の文化なのかもしれませんが、特に、透明性が求められる今の時代に、政治家の人たちにはもう少し明確な発信をしてもらいたいなと思う今日この頃です。